大判例

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横浜家庭裁判所 平成10年(少)6506号

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(罪となるべき事実)

検察官作成の平成10年11月26日付け送致書記載の審判に付すべき事由一ないし三と同一であるから、これらを引用する。

(法令の適用)

一ないし三の事実につき 刑法60条、249条1項、204条

(処遇の理由)

1  本件は、小学校時代からの幼なじみであるAに誘われ、簡単にお金が手に入ることに魅力を感じ、通勤途中の被害者を呼び止め、因縁を付け、暴行を加えて、車に乗せて連れ回した上で、持ち合わせの現金と銀行で下ろさせた現金とを併せた合計47万9000円を脅し取り、その際の暴行により被害者に怪我を負わせたもので、何の落ち度もない被害者に対し執拗に脅迫、暴行を加え、多額のお金を奪ったものであり、極めて悪質かつ重大な事件である。

2  少年は、両親から高学歴を期待されたものの、それに答える能力がないことから劣等感を強め、中学2年生ころから不良顕示傾向を強めたが、不良仲間のなかでもいじめられるなどして、自分の思うようにならず、いきづまった状況であった。そのような中、平成8年10月に後輩との喧嘩が学校に知れたことから高校を自主退学し、自立しようとの思いで仕事を始め、平成9年2月には両親には無断で、交際中のCと東京で生活を始めたが、同棲中のCが妊娠したときには自分では適切な対処ができず、結局は、親に問題解決を任せて、社会人として責任ある行動は取れなかった。その後、仕事が順調な時は、現金で高額の車を購入する一方で、交通違反の反則金不納付を続けたり、平成10年3月ころに現在の勤め先に変わって収入が減ると、遊興費ほしさに本件非行を行うなど、少年は、無責任で自己中心的な行動を取っていた。

3  少年は、劣等感が強く、自分に自信が持てず、些細なことでも馬鹿にされたと思い、虚勢を張り、現状を受け止められずに、物事に前向きに取り組めない傾向がある。また、家庭に不満を持ちながらも依存的な構えが強く、20才の誕生日を間近にしても、自立性が育っていない。さらに、年齢に比べて、社会的視野が狭く、思考が浅いため、反省が十分に深まっていない状況である。とすると、現状のままでは、再び、困難な現実問題に直面した場合に、軽率な行動を取り、非行を犯す恐れがある。

4  以上の点から、この機会に矯正施設へ収容し、反省を深めると共に、物事をじっくり考えさせ、問題解決能力を身につけさせ、社会的自立性を養う必要がある。

もっとも、少年には、与えられた枠組みではその指導に従おうとの素直さがあること、仕事は続けていたこと等から見て、上記処遇は一般短期処遇過程での集中的な矯正教育により所期の目的を達しうると考える。

よって、少年法第24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して少年を中等少年院に送致することとし、主文のとおり決定する。

別紙

少年は、Aと共謀の上、通行人から金員を喝取しようと企て

一 平成10年8月2日午後2時55分ころ、横浜市○○区○○町×、×××番地先路上において、D(当24年)に対し、「お前、Bだろう。嘘ついてんじやねえよ。」などと申し向け、同人の顔面を手拳で殴打する暴行を加え、同人を少年運転の普通乗用自動車に乗車させて走行し、同日午後3時ころ、同区○○町×、×××番地先路上に駐車中の右自動車内において、右Dに対し、「気にいらねえ。口の利き方が悪い。」などと語気鋭く申し向けるとともに、同人の左側頭部を所携のバットで殴打するなどの暴行を加えた上、同人に対し、「手が切れた。この落とし前をどうつけるんだ。慰謝料よこせ。誠意見せろよ。財布ごと全部よこせ。」などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し、右要求に応じなければ同人の生命・身体等に更にいかなる危害をも加えかねない気勢を示して同人を畏怖させ、よって、そのころ、同所において、同人から現金6,000円の交付を受けてこれを喝取し

二 右同所から同人を乗車させたまま右自動車を走行させ、同日午後3時10分ころ、同区□□××番地×○○銀行○○支店前路上に駐車中の右自動車内において、右一連の暴行脅迫により畏怖している同人に対し、「銀行から10万おろしてこい。全部おろしてこい。」などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し、右要求に応じなければ同人の生命・身体等に更にいかなる危害をも加えかねない気勢を示して同人を畏怖させ、よって、そのころ、右○○銀行○○支店前路上において、同人から現金3万円の交付を受けてこれを喝取し

三 右同所から同人を右自動車に乗車させて走行させ、同日午後3時40分ころ、同市□△区○○×丁目×番××号○○ビル前路上に駐車中の右自動車内において、右一連の暴行脅迫により畏怖している同人に対し、「銀行で残り全部おろしてこい。明細も持ってこい。」などと語気鋭く申し向けて金員の交付を要求し、右要求に応じなければ同人の生命・身体等に更にいかなる危害をも加えかねない気勢を示して同人を畏怖させ、よって、そのころ、同区○○×丁目××番×××号○○銀行□□支店前路上において、同人から現金38万9,000円の交付を受けてこれを喝取し

その際、右一連の暴行により、同人に全治まで約一週間を要する左側頭部打撲等の傷害を負わせたものである。

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